きしのし

定年が近いおっさんの日記です。旅行、鉄道、ポタ、メシ多めです。

ふくいナビ

ふくいナビとサービスとの間の契約が切れたのでデータが全部消失した、という記事が出ていました。

www.itmedia.co.jp

関係者ではないですが自分もIT技術者の端くれなので感想を。

まず、AWSやAzureでは「契約切れてもデータの即削除」は行いません。両者とも、万一の契約更改の遅延を考慮し、一ヶ月から2ヶ月程度はデータを残す規約です(サービスは停止しますがデータは残ります)。

従って、ふくいナビがAWSやらAzureを使っていれば、サービス停止にはなってしまいますが、データ消失にはならないはずですのでどこぞの国内ベンダのサービスを使っていたのでしょうか。。。(代行業者がNなのでNのサービスですかねぇ。。。)

つまり、遠因のひとつに「使っていたサービス会社がへっぽこ」ということが言えるのではないでしょうか?

更改遅延はじゅうぶん想定される事態です。大手であれば、きっと過去にさんざん「契約更改遅延」は経験している事態でしょうし、遅延しても大丈夫なのりしろを残しています。

経験の少ない国内のベンダが、契約の切れたユーザの情報を保持していることを過度に問題と捉え、客の事情を考慮せず「契約切れたら即削除」というような設計(運用を含む)をしたんでしょうね。
つまり、クラウドベンダの経験不足、仕様の問題も関係しているように思えます。恐らく、該当のクラウドベンダは、過去にそういった契約の遅延や契約切れに伴う削除のトラブルを経験したことがないのではないかと推測します。きっと契約しているユーザの数も少ないのではないかと。


次に、各所で「バックアップ取っておけ」と言っている人がいますが、これは正直疑問です。

もちろん正論なんですけど、バックアップあるいは分散化を実施するとき、普通は同一のアカウント内で行います。ベンダ、あるいは異なる契約でのバックアップ(というかデータ移動)は、普通はやらないしできないです。
それに、もし違うアカウントでも同じベンダと契約していたら、両方のアカウントが同時に契約切れになる可能性は高いでしょうから効力は疑問です。となると、オンプレにディスク用意して退避させる方法になるのですが、そうなるとなんのためのクラウドなのかってなっちゃいます。

本件、ふくいナビのリリースを見ると、2週間以上前に更新の依頼を代行業者(NECキャピタルソリューション)に出しています。2週間前というのは妥当なところで、特に遅いという感じではありません。
全面的に代行業者が悪いのですが、「契約更改が遅延してもデータを消さないベンダ」を選択しなかったことが不幸の最大の要因だったように思えます。

でも、詳しい人がいるならともかく、普通はそうではないでしょうし、クラウドベンダと系列会社の販売代理店は、そんなことは言わないでしょうし、聞いても「契約が切れたらデータは削除しますので安心」と言ってしまうんだろうなぁ、、、、と思ってしまいますね

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